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原子力規制委員会乗っ取りを許した官僚の罠

2012.10.13 10:44|脱原発
■原子力政策の総司令部か独立愚連隊

規制委員会設置法を読めば読むほど、とんでもない法律を許したと思う。
政府や保安院、安全委員会への不信感ばかりに気を取られ、政府は悪玉、あらたな規制委員会は善玉として登場するはずという無邪気な錯覚に陥って、チェック&バランスの必要性に思い至らず、圧倒的な権限と独立性を規制委員会に与えてしまった。
従来は、設置許可や各種の認可申請、審査は、所管大臣(商業炉は経産相、研究炉は文科相、原子力船は国交相)の権限であり、大臣は、重大な違反など限定的とはいえ、認可取り消しや運転停止命令の権限も持っていたが、これらがすべて規制委員会の独立した権限となってしまった。
さらに、従来は形式だけとはいえ定められていた安全委員会と保安院の「ダブルチェック」も、有名無実であったとして廃止し、規制委員会に一元化してしまった。
併せて、放射線モニタリングや核防護措置、放射性物質管理などもすべて規制委員会に一元化されることになった。
ここに、一切の干渉を排し、原子力政策のすべてを制する規制委員会が登場した。それは、フクシマの教訓を踏まえて、断固とした規制組織を・・という多くの国民の期待を担う組織となるはずだった。
しかし、この強大な権限と独立性は諸刃の剣であることに、大方の国会議員や国民は気づいていなかった。警鐘を鳴らしていたのは、平智之議員くらいではないか。あるいは原子力ムラの息のかかった一部議員は、ひそかにほくそ笑んでいたのかもしれないが。
設置法は、本文はわずか31条で委員会の設置や人事など基本的なことのみが書かれており、この委員会設置によって、従来の原子力規制が具体的にどう変わるかは全く分からない。それらはすべて97条もある膨大な附則に書かれており、しかもそれは「○○法○○条○項の「***」を「***」と読み替える」というような呪文の羅列で、その意味を理解するには対象法律の条項と首っ引きで解読しなければならない。
国会議員たちの内に、そこまで読み込んでこの法の内容を理解したものが果たしていただろうか?
勿論、官僚たちは先生方にそのような不便をかけないために「原子力規制委員会設置法について」
(内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室作成資料)という、わずか8ページの説明資料を準備している。勿論この資料では論議を呼びそうな事柄は省略されている。
おそらく議員の大多数は、せいぜい法案本文とこの説明資料だけしか見ていないのではないか。

■原子力ムラによる規制委員会乗っ取り

原子力ムラとその意を受けた経産官僚たちは、この、国会からも政府からも干渉されず全権限を握る「原子力政策の総司令部」の誕生を手ぐすね引いて待っていたにちがいない。
この委員会さえ握れば、圧倒的な脱原発の世論があろうとも原子力を守ることができる!
ずべての鍵は委員長、委員の人選にかかっている。だからこそ、ここが天下分け目の覚悟で、原子力ムラの重鎮を委員長に、明らかに不適格要件該当者を委員にというトンでも人事を敢えて強行したのであろう。
フクシマの教訓から出発したはずの原子力規制改革、国民の圧倒的な怒りの声、しかも政権維持さえ危うい状況の野田政権に、このトンデモ人事案を飲ませるには、想像を絶する裏工作や圧力があったに違いない。
野田首相も、人事案で立ち往生したり党分裂を招くこと必至なら、さすがにこんな案には乗れなかっただろうから、そういう事態は回避できますよと、最初から官僚に耳打ちされていたと推測する。
その秘策が、附則第2条3項及び6項を悪用し、国会審議サボタージュ→首相が任命→事後承認も回避するという抜け道である。
同意人事が国会でたなざらしのまま会期末が迫っても首相はじめ関係閣僚も全く動じる気配がなかったのは、これを腹に持っていたから、というより最初からそのつもりで「深く静かに潜航」していたのであろう。
今になって、この抜け穴が問題となり、先日も議員も参加した市民団体と規制庁との交渉で、この条項を使って事後同意を回避するのかと問われた規制庁側は、首相が判断することだと言葉を濁している。
谷岡郁子議員によれば、一度は政府サイドから、この条項による同意回避はしないとの文書がだされたとのことであるが、今やそれも無視されようとしている。

設置法第7条では「委員長及び委員は、・・国会の同意を得て、総理が任命」と規定し、同3項に例外として、委員長については、緊急時には10日以内に国会同意得られなければ首相が任命し国会の事後承認という「緊急任命」の規定があり、さらに附則第2条で、発足時最初の委員会人事については、委員長のみでなく委員も同様に緊急任命ができることとされている。これらの条文自体は、他の三条委員会などと同趣旨で、さらりと読めば常識的な規定とも見える。
ところが、この回りくどい表現を、現に原子力緊急事態宣言が発令されている福島事故の現状を合わせて読み解いていくと、結局、国会が10日以内に同意しなければ首相の一存で任命し、国会事後承認も緊急事態宣言継続中を理由に回避できるという発足当初から事実上法の趣旨を明らかに逸脱した扱いが可能になる。ちなみに福島原発で緊急事態宣言が解除される見通しは全くない・・。
正確には、この附則第2条3項を適用して緊急任命するには、国会同意人事提案時に「原子力緊急事態宣言がされている旨の文書」が添えられていなければならず、事後同意を回避するには、国会に対して「緊急事態宣言がされている旨の通知」をする必要がある。今回提案時にその文書が添えられていたのかどうか、筆者では確認できない。万一添えられていなければ首相任命そのものが違法である。(ただし、官僚はそういうところは抜け目がないので、さりげなく添えられていた可能性が高いと思う)



■次期国会で同意人事を審議させ、まっとうな規制委員会へ

以上のとおり、規制委員会はすでに乗っ取られた状態で走り始めている。
早速、公開の原則を捻じ曲げる「特定の政治的意見を持つ者」を会見から排除しようとしたり(世論の猛反発で撤回)、委員2名までと事務局なら議事録不要として事実上の秘密裏会議を公認、安全審査等の委員に審査対象以外なら電力会社などの関係者もOK、公開の委員会には公安警察官を配置して傍聴者を監視、などなど、ムラの本領を発揮している。
また、原発の新規建設を認めないという政府方針などには縛られず、経産大臣の「意見」など単なる参考、それも経営能力などを聞くだけ、と「独立」ぶりを発揮し、枝野大臣を慌てさせている。
この法律で、「意見」具申で新設を止められると思っていたなら枝野大臣、お気楽すぎです。
今になって、「政府方針を反映させるための法的整備」を口にされているようだが、一方で「まだ事務方に指示はしていない」と、二の足を踏んでいる。「現行法でもやれるが」ともおっしゃてるようだが、どういう根拠だろう。法的措置など、ムラ支配の邪魔をしたくない官僚に「そんな必要ないですよ」とささやかれているのではないでしょうね?
いずれにしろ、規制委員会を乗っ取られたままでは脱原発の道は危機的だ。
次期国会で、「緊急事態宣言がだされている旨の通知」を出させず、同意人事の審議、不同意、まっとうな委員への差し替えを求める市民、国民の声を、政府が無視できないほど大きく盛り上げることが、今きわめて重要だ。

■官僚の手口を許さない警戒心が重要

こういう手練手管は中央官僚の独壇場である。
キャリアー官僚たちは、所掌事務に関してまるで「歩く法律」であり、徹底的に法令との関係を念頭に置いた思考をする。そして、施策を進めるにも阻むにも、法をまず武器とする。「法で決まってるから」と押し進め、あるいは「法の根拠がないから」と拒む。ただし、常に遵法精神というわけではない。具合がわるければ抜け道を探し、(罰則がなければ)目をつむり、あるいは拡大解釈で脱法を図る。
組織の鎧をまとい法律で武装した切れ者の官僚たちにとって、政治家たちを説得し、操るのはお手のものだ。

こういうことがまかり通る背景に、国会、議員の側に本来の立法能力がなく、大部分の法律案作成が官僚に委ねられている実情がある。それで平然としている議員の意識改革なくして脱「官僚支配」はありえない。
いすれにしろ、政治家、議員は勿論、国民、市民も、官僚の説明や「概要資料」を真に受けていては手の内で踊らさるということを肝に銘じ、附則、政令、規則などもに罠が仕込まれていないか、よほど注意してかからなければいけない。
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